こんにちは、アルクです。
はじめましての方ははじめまして。
普段は競技遊戯王を楽しんでいるプレーヤーで、たまに記事を書いています。
過去記事↓
今回の記事は、僕が2023年末から約1年半の間取り組んでいた
今まで特にひけらかすものではないと思って発信していなかったのですが、先日僕がティーチングした弟子の1人であるあゆちさんが素晴らしい記事を書いてくれたので、触発されてこうして記事を書いています。

https://x.com/ayuthi007/status/1977388078512652662
「競技遊戯王を多くの人に楽しんでもらいたい」と思って活動されている方が最近増えてきていますので、
この記事がそういった方々の活動の一助になれば良いと思っています。
1. 師弟関係を築いた経緯
記事を読んでいる方からすれば、そもそもどういった経緯で師弟関係を築き、競技ティーチングをすることになったのか分からないと思うので、まずはそこから説明します。
事の発端は、とある女性遊戯王プレーヤーにあります。
(名前を出す許可を頂いていないので、ここではAさんとさせてください)
Aさんは所謂カジュアルに遊戯王を楽しんでいる方で、大会などには参加したことがありませんでした。
彼女は企画運営が得意な方で、とあるDiscordサーバーの管理人を勤めており、約70人くらいの方がそのサーバーで思い思いに遊戯王を楽しんでいたと聞いています。
そのAさんが、ひょんなことから、初心者CSである城下町CSの第一回大会(2023年10月)に参加することになり、そこで競技遊戯王の楽しさ、奥深さを知ります。
これだけでも素晴らしいことですが、行動力の塊である彼女は
「こんなに楽しいことを私だけで楽しむのはもったいない!
サーバーのみんなにも競技遊戯王を楽しんでもらえるよう、企画を創設しよう!」
となったのです。
企画発起にあたりAさんは、ただ自分のサーバーのメンバーを闇雲に大会に送り出すべきではないと考えました。
カードの効果処理やフェイズの確認など、カジュアルではあまり厳格でなかった部分についても正しい知識が必要なためです。
ここまでならインストラクターさんが行っている「デュエリスト交流会」などでカバー出来そうですが、彼女はそれだけでは足りないと考えていました。
皆が勝利を目指す戦いの場に行くのだから、記念受験ではなくきちんと勝ちに行く姿勢で臨まなければならない。
そのためには、現環境を正しく理解し、デッキ構築やプレイにおいて、十分な準備をするための場を設けなければならない、と。
その場として、現役でCS等の大会環境で活躍している選手を招聘し、期間を設けてティーチングを行う「競技者育成コース」を開設するべきと考えました。
時を同じくして私アルクは、CS等の競技を楽しみつつも、そろそろ引退も近いかなと感じていて、最後に何か面白いことをやりたいと思っていました。
要は「終活」ですね。
育成指導自体は前から興味があり、過去にはカードショップのバイトをしていた大学生に遊戯王を教え、一緒にチームを組んでCSで優勝したこともあり、多少の自信はありました。
Aさんが参加した第1回の城下町CSでたまたま僕が優勝したのもあって、彼女は僕のことを覚えていてくれて、本企画の講師として招聘して頂きました。
正に利害の一致、互いにとって渡りに船となったわけです。
後はAさんとスタッフの方も含めて何度も協議を重ねながら企画を形にしました。
育成はマンツーマンの形をとり、師匠と弟子の関係を作ることもこの時に決まったことです。
信頼の出来る講師を増やし、広報をして外部からも受講生を招き入れて、2023年の末から企画をスタートさせました。
冒頭のブログを書いてくれたあゆちさんはこの時に企画に参加してくれた方です。
以上が師弟関係を築き、ティーチングを行うことになった経緯です。
わずか1回大会に参加しただけなのに、ここまで的確に必要な要素を検討し、全て形にしてしまわんとするAさんの思考力および行動力は、今思い返しても本当に頭が上がりません...
互いに思想が強くあり衝突しそうになることもありましたが、彼女とこのプロジェクトに取り組めたことを今ではとても感謝しています。
2. 実際のティーチング内容
上述のとおり、カジュアル畑の方が立ち上げた企画ですので、指導方針がかっちりと定まっていたわけではありません。
統一で定めた「競技者育成コース」の主な想定および方針としては、
・弟子のスタートレベルは「ルールは分かるが、大会に一度も出たことがないカジュアル層」を想定。
何となく対戦は出来るが、優先権の行使やバトルフェイズの細かい処理はよく分からない、くらい。
・CSやランキングデュエルなどの大会に出場し、マッチ戦をつつがなくこなすことを基本的な目標とし、達成出来たならコース卒業とする
もちろん勝ちを目標とはするが必須項目ではない
・ティーチングはフルリモートで行う (discordを活用)
・期間は特に指定しない。
数週間〜半年くらいを目安に各師弟で自由に定める。ティーチングのスパンも自由。
・「競技初心者に競技の楽しさを知ってもらう」が1番の目標であることを忘れない(重要)
このあたりがベースになります。
これらを踏まえた上で僕が行ったティーチング内容と方針について記載します。
あくまで僕のやり方であり、正解とは限らないことをご承知ください。
まずは方針から。
方針① 好きなデッキ、カードを聞き、可能な限りそれを使用する
え?
と思われた方もいるかもしれません
競技遊戯王をするならば、まずその時の環境デッキを勧めるべきであろうと。
これは当時の状況が関係しています。
コース開設の経緯から分かるとおり、本企画は師匠側主導で始まったものです。
未だ競技に触れたこともない弟子側に対し「競技遊戯王が如何に魅力的であるか」をプレゼンし、彼らのモチベーションを高めていかなければならない立場です。
そのような関係において、弟子の使いたいデッキやカードを一旦封印し、こちらの指定した環境デッキを使用することをお願いしたとして、前向きに競技に取り組めるかを考えた時に、それは少し難しいだろうと判断しました。
なので使いたいデッキやカードの希望を聞いて、彼らの拘りを出来るだけ維持しながら、大会に持ち込める構築やプランを模索するところから始めました。
まだホーリースーが来ていない時のヴァンキッシュソウルや、霊使い4種を入れたデッキで、どうやって炎王スネークアイに勝つかを一生懸命考えたのが今では懐かしいです...
もちろん本番でデッキパワーの差が出てしまって勝ちが得られず、悔しい思いをすることもあるでしょうが、
そこで環境デッキに乗り換えて上を目指すのも良し
このまま好きなデッキを貫いて出来るところまで挑戦するも良し
弟子の判断に委ね、僕から強制することはありませんでした。
例え勝てなくても勉強して身につけた「競技遊戯王の基礎」は無駄にはなりませんから、多少遠回りでも、彼らが納得行く形で取り組んでもらうことを選びました。
実際、普段使っているテーマからスタートしたことで、彼らが競技に対して持っていた心の壁を上手く崩すことができ、良い効果があったと実感しています。
もちろん境遇が違う場合、例えば弟子側から師にお願いして指導を仰ぐ立場なのであれば、デッキは師の指定したものを使うのが最適と思います。
あくまで僕の境遇に限るケースだということはお含みおきください。
方針② 座学と実戦のバランス
とにかく試合をして感覚を掴むやり方や、まずは座学できちんと知識をつけるやり方など、教え方は人それぞれと思います。
僕は「基本的には両方バランスよくだが、やや座学多め」くらいを基準にしていました。
何故こうした比率にしていたかというと、
実戦練習は遊戯王をプレイする楽しさがあるので、誰でもあまり苦無く出来るのに対し、
座学はいわゆるお勉強になるため、人によってはあまり得意ではなく拒否反応を示す場合があります。
なのでティーチングの時に座学を多めにしてやるべきことを済ませてしまい、
空いた時間では友人と楽しみながら実戦経験を積んでもらう方が全体のバランスが良くなると考えました。
他の師匠陣と比較しても僕は座学多めでしたが、幸運なことに僕が受け持った弟子達は割と座学に強い性格の人が多く、結果として上手くティーチングを進めることが出来ました。
方針③ 教えたことは必ず文章に残す
これは徹底しました。
弟子からしたらティーチング内容は初めて教わる情報ばかりです。
その場で理解することも大変なのに、口頭で言われたことを覚えておくことに神経を使っていては良質なティーチングが出来ません。
毎回「要点は後でメモ送るから、とりあえず今理解することに集中してもらっていいよ」と声をかけていました。
メモの一例 ↓


ティーチングも大変ですから、このくらいの簡単なメモでいいと思います。
指導する側も次回これを見返すことで、進捗の確認が出来るのでおすすめです。
方針④ 頻度は週1回が目安
あまり高頻度にやっても義務化してしまうので基本は週1回ペースでやってました。
1回あたりのティーチングは2~3時間くらい。
これも各弟子の都合とモチベーション次第で微調整しました。
続いて教えた内容について。
内容① 基本ルールのおさらい
優先権やダメステ処理などは、ちゃんと覚えていなくともカジュアルでは遊べてしまうので、知識が無いままであることが多いです。
特にティーチングを始めた2024年初頭は「天盃龍」が実装された直後であったため、ダメステのことを何も分かっていないと試合を正しく進めることができないので、時間を取ることにしました。
またマッチ戦の基本的な進め方や、ET(エキストラターン)についての解説も行いました。
ルールはもちろんですが、いわゆる所作(お互いのデッキ枚数の確認とか、デッキカットの仕方とか)についても伝えました。
大会にまだ出たことが無いプレーヤーは、試合前にどういったやり取りが行われているかも分かりません。
そしてその「分からない」という状態が緊張や恐怖につながっています。
競技プレーヤーが当然やっていることが出来なくて、相手に迷惑をかけてしまうのではないかということを気にされている方が多くいます。
所作を教えることは、そうした不安や緊張を取り払い、弟子が遊戯王のプレイに集中できるようにする効果がありました。
内容② 環境考察
現環境を競技プレーヤー目線で考察し、どういったカードを採用すれば環境で戦うことが出来るのか、どういったプレイ、誘発のケアが環境上求められるのかを指南します。
大事なことは「どのような目線、考え方からその環境考察が生まれているのか」を明確にすることです。
単にその環境で強いデッキおよびカードの紹介に留まってしまうと、3ヵ月に1回の制限改訂が来る度に、学んだ知識がリセットされてしまいます。
可能な限り、その考察が生まれる思考を明示することで、どんな環境でも使える汎用的な考察能力を育てようと考えて取り組みました。
(ゆくゆくは弟子自身で環境を考察出来るようになることが目標)
この取り組み自体は間違っていなかったと思いますが、全ての弟子にこの能力を授けることは出来ず、道半ばとなりました。
情報はいくらでも渡せますが、考え方の共有は難しいものです...
内容③ サイドデッキの構築およびサイドチェンジのやり方
このSNS全盛期では、あらゆる環境デッキのレシピが簡単に手に入りますが、サイドチェンジに関しては情報がほとんど出回っていません。
もちろん僕も他人のレシピからサイチェンを完璧に再現することは出来ませんが、分かる範囲でサイチェンの思考を伝授しました。
特に初心者は、環境に刺さるカードを片っ端からサイドに入れてしまいがちです。
サイドチェンジは「効力のあるカードを入れること」だけでなく、
「各対面において効力の薄いカードをきちんとサイドアウト出来ること」が重要になります。
そうした視点から「丸いカード」「尖ったカード」の特徴を説明しつつ、サイドの組み方を指導します。
これも「環境考察」の項と同様に、汎用的な能力を身につけて、どのシーズンでも自分で正しいサイドが組めるようになることを目標としましたが、
やはり限られた時間ではここまで到達することは難しかったです。
3. ティーチング以外で取り組んでいたこと
・スタッフ同士の情報共有
当たり前ですが、競技初心者に遊戯王を教えること自体がなかなかない経験です。
方向性を間違えないよう、Aさんには進捗を細かく報告していました。
何かあれば「職員室」と呼ばれる別サーバーにて日夜会議していました。
完全に学校ですねw
僕は教員の経験はありませんがこんな感じなんだろうなと思いました。
また一緒に指導に当たっていた師匠陣同士はとても仲が良く、お互いのティーチングでの苦悩を共有しながら励ましあっていました。
一緒に仕事が出来て本当に良かったと思います。
・CSに出て結果を出す
実はティーチングそのものよりもこれが一番大変でしたw
もちろんこれまでの実績を以てこのプロジェクトに呼んで頂いているので、仮に勝てていなくとも問題はないのですが、
弟子と同じ環境をしっかり戦って、勝った背中で語るのが一番説得力がありますからね。
大勝ちは出来なくとも、そこそこの成績は維持するよう努めました。
・弟子とのコミュニケーション
結局、これが一番大事です。
スタート時点の理解度も、覚えるスピードも、取れる時間もモチベーションも、人によって様々です。
同じ内容のティーチングを行っても、弟子によって受け止め方は異なります。
常に会話をしながら、反応を見ながら、与える情報もかける言葉も変えていく必要がありました。
カードゲームの成長を構成する要素として、いわゆる「ゲームセンス」みたいなものは確かに存在していて、時に努力よりも高いシェアを占めている場合があります。
同じことを1か月で習得する人もいれば、半年かけても理解出来ない人もいます。
残酷ですが、認めて付き合っていくしかないのです。
また同時に、思っていることをお互いにちゃんと言える雰囲気を作ることを意識しました。
弟子からすれば、CSで活躍している選手が、無償で自分のために時間を取ってくれている状況なわけです。
プレッシャーも感じるだろうし、上手くいかないと焦りも生まれます。
僕は必ず、このティーチングは自分にもメリットがあることを伝えていました。
楽しいことを求めて自分から始めたことですし、仕事でプレゼンが上手だと褒めて頂けたのは間違いなくこのティーチング企画のおかげだと思っています。
なので遠慮することはないし、結果が伴わなくとも負い目を感じることはないと伝えました。
偉そうに語っていますが、僕も全てのティーチングが上手くいったわけではありません。
合わなかった人もいますし、もっと上手くやれたという後悔もあります。
本企画から多くのことを勉強させてもらいました。
4. 弟子達の実績
上述のとおり、大会に送り出すことが目的であり、戦績は重要視していませんでしたが、弟子達が本当に頑張って結果を残してくれたので、ここで紹介させてください。
・ティーチング期間 約2か月で、
RAMビギナーズベスト8
・ティーチング期間 約3か月で、
RAMビギナーズベスト16 & YCSJ 予選5-2
・ティーチング期間 約2か月で、
ランキングデュエル(マッチ戦)全試合スト勝ち優勝
皆、マッチはおろかシングル戦ですら1度も大会に出たことがないところからスタートして、この戦績です。すごい。
みんな初回から結果を出したわけではなく、大会に出て悔しい思いをして、練習を重ねて結果を勝ち取りました。
本当によく頑張ってくれました。
ビギナーズ大会が多く開催されていたのも、目標を定める上でとても助かりました。
RAMさん本当にありがとうございます。
これから同じような育成指導を行う方の、目標設定の参考になれば幸いです。
5. 弟子からのメッセージ
今回記事を書くにあたって、弟子の1人からメッセージを頂きました。
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アルクさんから競技遊戯王を教えていただいた者です。
こちらの記事作成にあたり、弟子視点での所感が何かの参考になればと寄稿させていただきました。
競技経験ゼロの状態からCS参加を目指せるレベルまで楽しく継続できたのは、間違いなく前述されたような講師の方の手厚いご配慮あってこそだと思います。
その中でも個人的に印象深かったやり取りとして、ティーチングの最初に「指導内容に無理を感じたら正直に伝える」ことを約束しました。
実際これに至ることはありませんでしたが、この決め事により過度なプレッシャーを感じることなく日々の練習に励めました。
教わる側の感覚として、講師の方への負担は常に考えてしまいますし、まして実績のある方に師事するとなると、指導についていけなかったら…結果が出せなかったら…という不安で二の足を踏んでしまう方も多いと思います。
ですがアルクさん含め、競技の間口を広げるために活動されている講師の方々は、そういった不安をクリアできるくらい信頼できる方ばかりだと思います。迷っている方にこそ、思い切ってチャレンジしてみてほしいです。
改めて、アルクさんのティーチングを通じて競技遊戯王に触れることができて、本当によかったと思います。
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本当にありがとうございます!
6. 今後期待の活動に関して
WCS2025 OCGの部 日本代表のむらかみさん(@breaker1864)が主体となり、
競技遊戯王普及などの活動を行う新イベントグループ
「遊戯王デュエルカレッジ」が始動するようです。

運営メンバーの1人であるけー坊くん(@keibou_yp)は、WCS2023日本代表という実績を持つ実力者でありながら、
僕と一緒にこの「競技者育成コース」の師匠を務めてくれた、いわば戦友です。
なのでティーチングの能力、経験ともに申し分ありません。
他のメンバーも皆お会いしたことがありますが、とても気さくで良い方ばかりです。
とても有意義な活動と思いますので、陰ながら応援したいと思います!
7. 終わりに
ここまで読んでいただきありがとうございました。
自分のやってきたこと、学んだことが、他の活動者にとって役に立ってくれれば嬉しいと思い記事を書きました。
少しでも参考になれば幸いです。
また、世界大会で活躍する選手を見るなどして、競技遊戯王に興味がわいてきた方がいらっしゃれば、今は本当に始めやすい環境が整っていますので、是非参加してみてください。
応援しています。
最後になりますが、今自分は茨城県にて非公認CSの運営を行っています。
「閃光杯」というCSを、約2か月に1回くらいのペースで開催しておりますので、
興味のある方は是非遊びにきてください。お待ちしております。

Xアカウント(@StarD_spark_cup)
ではまた次の記事で。